台湾最古の灯台で、異国気分を味わえる?「漁翁島燈塔」
澎湖(ポンフー )本島エリアで本島に続き二番目に大きな島「西嶼(シーユー)」。この最西端には、台湾で最も歴史の長い灯台がそびえています。
ここには、なんと1778年つまり250年近くも前から灯台が立ち、海上の交通を見守ってきたのです。もちろん、今でも夜になると煌々とした灯りを澎湖の海域に放っています。
残念ながら、現在の灯台は2代目のもので、1代目の面影は全くありません。が、なんとこの灯台も台湾で最古の西洋式の灯台であり、1875年に完成したものが今でも使われています。
こちらも150年近い歴史があるというわけですから、いかに澎湖の海上が船乗りにとって大切なものだったのかが伺えます。
敷地内は真っ白に統一されており、建物も全て西洋式のため、一瞬ここが台湾の離島であるということを忘れてしまうかもしれませんね。
更に、立ち入り禁止になっている扉の先を覗くと…
不思議なことに十字架が。一説によるとこの灯台の建築家のお嬢さんが伝染病で亡くなってしまったため、その葬いのために建てられたとのことですが、真相は定かではありません。この謎の十字架もまた異国情緒を誘います。
敷地内には3つ並んだ大砲もあります。こちらは敵を迎え撃つためのものではなく、霧が出てきた時に音で灯台の場所を伝えるための「霧笛」です。
現在はレーダーが発達したので使われることはありませんが、これらの霧笛もまた往年の姿を忍ばせます。
その他、いくつかの建物がありますが、そのうちの一つは資料館として開放されています。
中には、漁翁島燈塔のミニチュア模型が展示されており、その周りに台湾中の灯台の場所を示した地図と、その写真が展示されています。
岬マニア、灯台マニアにはたまらない資料館となっています。
ちなみに、1代目の灯台はこのような形をしており、灯台の前には海の女神様「媽祖」を祀った小さなお寺がありました。
このお寺は現在の灯台に建て替えられる際に取り壊され、中に安置されていた神像は地元の道教のお寺と仏教のお寺に寄進され今でも大切にされています。
なお、駐車場から灯台の敷地内までの間は現役の軍事施設の中を通る形になります。そのため、その区間は撮影が禁止されており、また施設を覗き込むことも厳重に禁止されていますのでご注意ください。
そうそう、今では白亜の灯台になっていますが、中国との関係が緊張していた時期にはなんと迷彩柄だったこともあるんです!
何も知らずに見に来ると、普通の灯台にしか見えませんが、実は敷地内のものそれぞれにストーリーが隠されています。
ただ写真を撮って去るのではなく、ぜひそれぞれの昔の姿を思い描いていただければと思います。
たまに軍人が飼っている犬が吠えますが、それに構っていると機関銃を携えた兵士に注意されますよ。迫力満点で怖い?