澎湖(ポンフー)最古にして台湾最古のお寺「天后宮」
台湾で一番歴史のある媽祖廟「天后宮(TIĀN HÒU GŌNG|ティエンホウゴン)」
台湾でもっとも親しまれている神様といえば、航海と漁業の女神として知られる「媽祖(Māzǔ|マァズゥ)」です。
媽祖はもともと中国の福建省で信仰されていましたが、初期に台湾に移民してきた人のなかには福建省出身の人が多かったことから台湾でも広く信仰されるようになりました。
特に澎湖(ポンフー)は大陸から近いため台湾のなかでも最初に開拓された場所であることと、漁師が多かったこととなどから、台湾で一番最初に媽祖廟が建てられました。
天后宮の歴史はかなり古く、いつ創建されたのかはっきりしないほどです。
記録によると1604年にオランダ軍が澎湖にやってきた時にはすでにあったとされているので、いずれにせよ400年以上もの歴史があります。
その歴史のなかで天后宮は何度も壊されたり、再建されたりしていますが、現在の天后宮は日本時代である1923年に建てられたものです。
現存する建物だけでも100年近い歴史があるというわけです。
現在の「馬公」の名前の由来にもなった場所
かつて天后宮は、「娘宮(niáng gōng|ニャンゴン)」、「媽娘宮(mā niáng gōng|マーニャンゴン)」、「娘媽宮(niáng mā gōng|ニャンマーゴン)」、「媽宮(mā gōng|マーゴン)」など様々な名前で呼ばれており、それがそのまま地名になっていました。
現在の天后宮の名前は1684年からのものです。そして日本時代の1920年に日本政府が周辺の地名を「馬公街」と変えたことにともない、住民から「媽宮(Māgōng|マーゴン)」と呼ばれていた地名も「馬公(Mǎgōng|マーゴン)」と漢字を変えることとなりました。
天后宮はその歴史的価値から1983年に「国家第1級古跡」に指定され、保護されることになりました。
Q. 国家古跡とは?
A. 台湾の国宝のようなもの
台湾の歴史的な史跡に行くと「国家第1級古跡」などとかかれていることがあります。簡単にいうと国宝のようなもので、政府が認定して保護されている建物です。
国家古跡には第1級から第3級まであり、もっとも貴重なものが第1級になります。第1級古跡は台湾に24ヶ所あり、そのうちの3つが澎湖(ポンフー)にあります。
細かな造形に注目
現存する天后宮は高低差を利用することで荘厳な佇まいに見えるように工夫されています。するどく弧を描いた屋根には龍や鳳凰が置かれています。また、中庭には福建省の石が敷かれており、階段には玄武岩が使われてます。もちろん廟の中にも繊細な木彫りがたくさんあります。外観だけでなく、ぜひ中にも入って美しい作品をご覧ください。
国宝になった石碑もお見逃しなく
寺院内にある「沈有容諭退紅毛番韋麻郎…」と書かれた石碑は2022年3月に国宝となりました。
この石碑は1620年代にオランダ人による侵略を免れたことを記念して作られたものです。
台湾で最も古い石碑として故宮博物館に展示されたこともあるんですよ。
ちなみに発見されたのは、1919年の建て直しの際だったそうです。